妊活や不妊治療を進めるうえで、男性側の健康状態を知るために欠かせないのが精液検査です。
不妊の原因は男女ともに50%ずつであるといわれているため、女性側の検査だけでなく男性側の検査も同時に行うことが大切です。
精液検査では、精子の数や運動率、形態などを調べ、妊娠しやすさに影響する要因がないかを確認します。
もし検査で異常が見つかった場合でも、生活習慣の改善や治療によって改善が期待できるケースもあります。
本記事では、精液検査の基本的な流れや注意事項、費用の目安についてわかりやすく解説します。
精液検査では何をする?何のためにするの?
精液検査とは、妊活中・不妊治療中の方を主として、自分の精子の状態が気になる方が行う検査のことです。
不妊の原因の半数が男性にあると言われており、妊活がうまくいかない場合に受ける場合が多いです。
しかし、スムーズな妊活を行うためにも、妊活を始めるタイミングでの検査をおすすめしています。
具体的には、以下の内容を調べます。
- ・精液量(射出された精液の量)
- ・精子濃度(精液1mlあたりの精子の量)
- ・精子運動率(運動している精子の割合)
- ・精子正常形状率(正常な形の精子の割合)
ちなみに、正確な検査結果を得るために、検査前は週に2-3回射精をしておくのがおすすめです。
参考
また、以下の生活習慣がある方は精子の状態が悪い可能性があります。
■ 睡眠時間が6時間未満の日が多い |
■ 食生活が不規則 |
■ 運動不足(週に1回以下) |
■ お酒を週に3回以上飲む |
■ タバコを吸っている |
■ ストレスを感じることが多い |
■ 朝の目覚めが悪く、疲れが取れにくい |
■ サウナの利用や長風呂が多い |
■ 長時間座りっぱなしの仕事をしている |
上記のうち、3項目以上に該当し、自然妊娠を希望する場合は精液検査を実施するのがおすすめです。
精液検査の流れとは
精液検査を受ける際には、まず検査用の容器を用意します。
多くの医療機関では専用の滅菌容器が渡されるため、自宅採取を望む場合はあらかじめ受け取っておきましょう。
クリニックによっては市販の容器を使用できる場合もありますが、原則として専用の容器を使うのが好ましいです。
採精は、当日に自宅または院内の採精室で行います。
検査する1時間前に精液を採取することが好ましいです。
清潔な状態でマスターベーションにより採取し、射出された精液は全量を容器に入れましょう。
精液をこぼした場合や体調の変化や服薬などがあれば必ず医師に伝えます。
提出後は検査が行われ、結果が出るまでしばらく待機するか、後日再度来院して説明を受けましょう。
精液検査をするうえでの注意事項
精液検査を受けるにあたり、採取前には2〜7日間の禁欲期間を設けることが推奨されています。
また、コンドームや潤滑剤、唾液などは精子に悪影響を及ぼすため使用できません。
採取した精液は、できるだけ1時間以内に提出することが望ましく、体温に近い20〜37℃程度で保ちつつ搬送します。
直射日光に当てることや冷却、過度な加熱は避け、上着の内ポケットなど体に近い場所で保温するとよいでしょう。
体調や生活習慣によって、検査結果はかなり変動します。
そのため、最初の検査で異常が見られた場合は複数回の検査が推奨される場合もあります。
精子の異常による疾患と治療方法
精液検査をして、異常がある場合は必要に応じて治療に臨みます。
異常の程度によっては治療をせずとも、自然妊娠できる可能性もあります。
医師と相談しながら、治療の方針を決めていきましょう。
①無精子症
無精子症とは、精液の中に精子がまったく存在しない状態のことです。
男性全体の約1%、不妊男性の約10%が該当すると言われています。
無精子症には、以下の2パターンが存在します。
- ・閉塞性無精子症:精子は作られているが、精管や射精管が閉塞していて出てこない
- ・非閉塞性無精子症:精管や射精管は正常だが、精巣での精子形成に問題がある
閉塞性無精子症の場合は、可能であれば精路再建手術を、難しければ精巣から精子を採取して顕微受精を行います。
非閉塞性無精子症の場合は、精巣から精子を採取し顕微授精を行うのが一般的です。
②乏精子症
乏精子症とは、精液中の精子の数が少ない状態のことを指します。
具体的には、精液1mL中に精子が1,600万未満を下回っている場合に乏精子症とみなされます。
精巣で精子が作られる量が少ない場合や、精管や射精管が閉塞している場合、過度な喫煙や飲酒、肥満など原因は様々です。
精子形成に影響する病気の場合はその治療、閉塞性の場合は外科的治療や精子回収および顕微授精が行われます。
状態によっては、生活習慣の改善やサプリメントの服用が推奨されます。
③精子無力症
精子無力症とは、前進運動する精子が32%未満、運動精子が42%未満の状態を指します。
原因としては、以下のものがあげられます。
- ・精索静脈瘤や精子鞭毛の構造異常といった精子機能の問題
- ・前立腺炎などの感染症や炎症
- ・過度の喫煙、飲酒、肥満
- ・ホルモン異常や糖尿病などの全身疾患
治療は原因に応じて行われ、感染症であれば抗菌薬治療、精索静脈瘤であれば手術、ホルモン異常であればホルモン療法の検討が必要です。
また、生活習慣の改善やサプリメントの摂取が推奨される場合もあります。
重度の場合には、体外受精や顕微授精が行われます。
④奇形精子症
奇形精子症とは、精液中に存在する精子の形態に異常が多い状態を指します。
正常形態の精子が全体の4%未満の場合に奇形精子症と診断されます。
原因は、以下のようにさまざまです。
- ・精巣での精子形成異常や遺伝的要因
- ・精索静脈瘤
- ・感染や炎症
- ・過度なストレス、喫煙、飲酒、肥満
重度の奇形精子が多く見られる場合は遺伝的要因の影響である可能性が高く、治療が難しいケースが多いです。
精索静脈瘤や感染や炎症、過度なストレス、喫煙、飲酒、肥満などが原因である場合には、適切な治療や生活習慣の見直しで改善する可能性があります。
精液検査の費用とは?
精液検査の費用は医療機関によって異なりますが、自由診療扱いとなることが多いため、数千円〜2万円台程度が一般的な目安です。
Reviosでは、21,780円(税込)で精液検査ができます。
検査をご希望の方は前日までに予約が必要です。
また、性感染症の検査もできるブライダルチェックは41,800円(税込)で可能です。
精液検査は不妊検査費助成金制度の対象となるため、経済的な負担を軽減しながら安心して望めます。
まとめ
精液検査では、精子の数や運動率などを確認することで、不妊の原因が男性側にあるのかを調べられます。
結果に異常が見つかったとしても、「妊娠できない」という意味ではありません。
生活習慣の見直しや薬による治療、必要に応じた専門的な医療サポートによって改善が見込める場合も多くあります。
パートナーと協力しながら、必要に応じて専門機関に相談してみましょう。
「Revios」は、JR大阪駅中央口から徒歩1分にある男性専用のプライベートクリニックです。
精液検査を含むブライダルチェックが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
参考
監修
淺川 純平
Revios MEN’S CLINIC院長・泌尿器科専門医
泌尿器科専門医として長年にわたり幅広い男性診療経験をもっています。
特に専門性が高いのは、包茎手術・性感染症治療・ED治療・男性ホルモン治療の分野。多くの患者様から信頼を集めています。
医療の現場で培った知識をもとに、SNSやコラムを通じて正しい医療情報を発信中。患者様お一人おひとりの不安に寄り添い、安心して治療を受けていただける環境づくりを心掛けています。
このコラムではそんな院長の信念のもと、わかりやすく正確な情報をお届けしています。